皮膚科クリニックで提供されるシミ治療では、即効性が高くて肌のメラニン色素を直接破壊するQスイッチルビーレーザー(Qスイッチレーザー)のようなレーザー機器を使用して行なうことが主流でしたが、こうした高出力のレーザー光で皮膚の奥のメラニン色素を狙う場合、真皮層の線維芽細胞を刺激して肝斑を悪化させるおそれがあったため、肝斑への使用はNGとされていました。このため、肝斑には低刺激で安全性の高いフォトフェイシャルなどを推奨する皮膚科クリニックも多かったのですが、近年はレーザー機器の進歩によって「スペクトラ(SPECTRA)」というレーザー機器を使用したシミ治療が提供されることが増えています。スペクトラは元々はタトゥー除去用に開発された最新のレーザー機器(QスイッチYAGレーザー)で、メラニン色素の吸収率が高い波長を持つ光と肌の奥まで届く波長を持つ光の2種類の波長の異なる光を使い分けることで様々なタイプのシミを取り除くことが可能です。また、スペクトラはムラをつくらずに安定的にメラニン色素を捉えるレーザー光を照射できる機器なので、最小限の出力でメラニン色素の周囲の組織に刺激を与えずに施術が行えます。 つまり、通常のレーザー機器のように肝斑を悪化させず、効果的なシミ治療ができるというわけです。一般に、スペクトラによる施術は1回あたりの施術時間は5~30分程度と非常に短く、施術時の痛みは輪ゴムで弾かれた程度で済んでダウンタイムもないのが特徴なので、施術後はメイクをして帰宅できる患者さんの負担が小さい施術となっています。とはいえ、スペクトラを導入しているクリニックはまだあまり多くはなく、やはり効果や安全性は医師の経験などに左右される面も大きいので、施術実績の豊富なクリニックで施術を受けるのがお勧めです。